活字文化の復興へ始動-読書展を振り返って

 

西崎 加代子(創価大学中央図書館)

 

「創価大学に読書の波を大きく広げたい!」

その共感の輪が全学読書運動 「Soka Book Wave(以下SBW)」のうねりを大きくし、今年で3年目を迎えました。

 

 図書館がこのSBWにコミットした背景は、今から3年前、知識基盤社会、教養教育重視といっても、基本中の基本は学生が「読書」することに慣れるしかないのではと考え、そのための具体的な運動を何か起こせないかとの論議が館内で巻き起こったことに発します。同時期、全国大学生活協同組合連合会主催の「読書マラソン」に注目しました。

 

 しかし、図書館だけが起こす運動の限界も予感、学生の視点からの運動を、と館内で意見が一致し、既に数年前から開催されていた学生寮や学友会が主催する「読書杯」などの読書運動と図書館が考える読書運動を統合させ、全学読書運動がスタートしました。これまで何度も行き詰まり、そのたびに原点に立ち返り、学生と図書館員が一体となって思考錯誤を重ねながら、やっとここまで来たというのが正直な実感です。

 

 今年に入り、運動を更に盛り上げるためには、何をすべきか、それがSoka Reading Project(SBW推進実行委員会:学生有志と図書館員から構成される。以下SRP)の議論の中心となりました。その際、創立者が様々なメディアを通し、読書の大切さを訴えられ、活字文化復興を提唱されていることに思いがいたり、「活字文化復興を実現する何かを、今、興していきたい!」との思いに凝縮しました。真剣に討議し、意見を重ね、国内では初と思われる“読書”に関した展示『読書展』~青年よ 心に読書と思索の暇をつくれ!~開催への運びとなりました。

 

創価大学の一大イベントである“創大祭”期間中に開催し、大変に嬉しいことに2000名を超える方々に訪れていただきました。『読書展』というと、難しいイメージがありますが、この『読書展』に来てくださった方々に、読書の楽しさや大切さに気づいてほしい、本や読書といったものをもっと身近に感じてもらいたいとの思いで、展示内容、手に取る図書、飾りつけなど、細部に渡って徹底的に工夫し、思いをこめて作成いたしました。

 

特に、学生の斬新なアイデアや感覚は素晴らしく、学生の持つ創造性に驚きを隠せませんでした。このような展示会は、当館においても初の大胆な試みでもあり、『読書展』初日は、来館していただいた方から、どのような反応があるか、不安と期待が入り混じっていましたが、アンケートに嬉しいコメントをたくさんお寄せいただきました。心より感謝すると共に更に充実した取り組みを展開していきたいと思います。

 

『読書展』が大成功に終わった今、いよいよ「活字文化復興」の大波を、

創価大学から、“創大生の手で”起こしていけるよう、SBWが本格的に動き始めるのはこれからです。SBW2006のエントリー者数は約2300名、感想カード提出総数は約4000枚を超えました。現在、明年のSBW2007に向けて、学生と図書館が協力しあい、更に大いなる展望を心に抱きながら、新たな戦略を考案中です。

 

揺ぎない信念のままに、我が創価大学から、「読書」の波、「活字文化復興」の大波を起こし、それが全国に広がっていくことを夢見て、今後も学生と共に頑張っていきたいと思っています。