本の出版、表現することの楽しさ
木田 達也 (教育学部教育学科4年)
私は31期教育学部教育学科4年、木田達也です。2005年7月5日に、新風舎という出版社から詩集を出しました。『アイデンティティの「かけら」』藤瀬達也(ペンネーム)です。
昨年、一年間休学し、その期間の中で出版する運びとなりました。この詩集を書いたのは大学3年の夏休みです。3年の4月から1年間、創価大学中央図書館でアルバイトをしていましたが、アルバイト生や職員の方々から色んな刺激を受け、また本に囲まれる時間を多く過ごすことによって、「自分も何か書いてみたいな」と漠然と思うようになりました。
“詩”という形として、表現出来るようになったのはちょうど夏休みに入ってからです。「夏休みに何作品書けるか」と挑戦したところ、溢れるように次から次へと言葉が産まれ、ちょうど30作品出来ました。
自分が書いたというより、何かが書かせたという感覚でした。そして翌年の1月、ある雑誌の裏表紙を見ると「新風舎出版賞」の文字が。直感で、「書いた詩集を出してみよう」と思い、ワープロ打ちして応募。結果的には賞を頂くことはできませんでしたが、福岡支社の方が推奨して下さり出版契約することになりました。
また休学期間中の3ヶ月は、ピースボート地球一周の船旅に参加しました。18カ国、アジア・アフリカ・ヨーロッパ・アメリカ・中米・カナダと色んな国を廻ることにより、自分がもっていた既成の価値観が壊れました。アジア・アフリカの国では、本当に“生きている”人達と出会い、作り笑いではない笑顔に触れて泣きそうになりました。またヨーロッパでは感性のアンテナが刺激され、新しい感情がプラスされました。アメリカではグラウンド・ゼロを見て呆然とし、中米では生活の中に音楽がある文化を体験し、カナダでは自然の美しさを感じました。
そんな中、各国から途中乗船される多くの著名人と対話する中で、一流の人達は共通して平和に対する意識が高いなと感じました。偶然、NYから乗船されたビジュアリスト手塚眞氏の映画(2004年東京国際映画祭共催のネットムービー「サイバー刑事メロン」)にも出演することができ、新しい自分と対面する事が出来ました。手塚氏が映画の演技指導の中で「映画の演技は誰かを演じるのではなくて、本来自分の中にあるものを引き出すだけだ」という言葉に、衝撃を受けました。
自分という人間に本来備わっている力や能力を引き出し、また産み出すこと。それは映画という場面だけではなく、どの場所においても始めることが出来るのだと思います。毎日の生活の中で、人と比べることにエネルギーを使うよりも、自分の中に眠っている可能性を模索・発見しながら、「内側から輝く人間」になりたいと強く思います。そう思うようになったのは、休学期間中に多くの「内側から輝く人間」に出遭ったからです。
会話でもなんでも、表現することそれ自体が生きる営みであり、それを当たり前の事としてではなく幸せな行為だとして捉えられたら、人生はより楽しくなるのではないかと考えるようになりました。
これからも、あらゆる表現方法を通して自分の中にあるメッセージを発信していきたいです。表現者として生きること。それが、私にとって一番幸せなことです。