夏休みと読書

リサ・パリラ(短大助教授)

 

人生にとっておもしろいことは、読むことの楽しさであり、決してたいくつになることはありません。読むことのすばらしさというのは、それは作者の「声」それだけで、自分の想像を働かせることができるすばらしさがあります。偉大な作家は、人の心に生涯に残る一行か二行を残すインパクトがあります。

 

私は読書がとても好きです。私にとって、本のない人生は考えられません。「本」は、単に何かを学ぶというだけでなく、自分を遠いファンタスティックな世界へとエスケープさせてくれ、そして、いろんな感情を経験し、自分を麻痺させてしまうくらいの感覚を与えてくれます。

 

読書に対する初期の思い出には、父との思い出があります。我が家の伝統は、毎週土曜日の午前中、父と一緒に図書館に行き、そしてドーナツを食べに行くこと。父は、何があっても必ず、私を図書館に連れて行きました。私は、なつかしい図書館の古い本のにおいをかぎながら、いろんな種類の本棚をゆっくりながめていました。そして、4冊か6冊を選んで(それは厚さによりますが)、それを父に見せてOKをもらい、カウンターで貸し出してもらいました。

図書館のあとは、帰りに必ずドーナツ屋さんに寄って、父とドーナツを食べながら、先週読んだ本とか、その日に借りた本のことを話していました。でも、帰り道では、さっそく手の中にある本を、1分でも早く読みたいと、ドキドキしていました。

 

このあとの1週間は、毎日借りた本を読むことが非常に楽しみでした。それからは、とにかく時間との楽しい競争。というのは、来週土曜日に図書館へ行くまでにすべて読み終えなければならないからです。そしていったん読み始めると、私は自分のイマジネーションの世界へ行くことができ、ファンタスティックな場所と新しい友だちができるアドベンチャーに没頭することができました。

読み終わると、現実の世界に戻り、とても悲しくなりましたが、すぐまた次のアドベンチャーに行くことができます。

 

まもなく、また待ち遠しい「夏」がやってきます。このごろは特に、夏が来るのが愉しみです。なぜといえば、夏は「pleasure reading」の時間ができるからです。

私の「夏の読書リスト」を年中準備をしています。このリストは、ワンシーズンではとても読み終えるには多すぎます。しかし、新しい本を読むことを見つけたり、今まで読んだ本をなつかしく思い出して、子供の頃からのものも含め、夏の読書リストに追加していきます。それだけでも楽しいものです。

 

夏休みになってアメリカに帰国したとき、私は、リストにあげた本をもって、ビーチに行くことがとても待ちどおしいです。それは毎日の繰り返しの生活から抜け出して「アドベンチャー」にエスケープすることができるからです。ときに波の音を聞きながら、冷たい、リフレッシュするドリンクを飲みながら。とても心地よいです。

 

以下は、私の大好きな本の中からいくつか選んだものです。それは小さいころから何度も読んだものも入っています。もし機会があれば、今年の夏に、あなたもビーチで(なければ自分のお気に入りの場所で)、ぜひアドベンチャーエスケープの経験をどうぞ!

 

「ナルニア国ものがたり」 C.S. Lewis

4人の兄弟が何回も何回も学者の屋敷の中の探検の旅に行く空想の物語。この物語の中で、善と悪、信念と希望が繰り広げられる、とってもおもしろいファンタジーな本です。

 

「若草物語」 Louisa May Alcott

これはマーチ家四人姉妹の物語。とにかく次から次へとすごく事件や悲劇が起きるが、そこから必ず希望が現れる、私も小さい頃から何度読み返して、どれほど笑ったり泣いたりしたかわからないほどの本です。

 

The Wind in the Willows」  Kenneth Grahame

4人の仲の良いモグラ、ネズミ、アナグマ、そしてカエルの、とにかくユーモラスなファンタジー冒険物語。イギリスの田舎にあるワイルドウッドで、動物から見た視点の世界。とってもおもしろいです。

 

「風と共に去りぬ」  Margaret Mitchell

アメリカ南北戦争時代の勇気とロマンスに満ちた壮大な物語。南部の農園に生まれた勝ち気な主人公スカーレットが、頑固さをとおしながら戦渦を力強く生き抜き、でも最後はタラの大地に一人きりになってしまいます。

 

「アンナカレーニナ」  Leo Tolstoy

ロシアの19世紀末を舞台とした、とても悲しいラブストーリーですが、トルストイはアンナの人生をそのまま切り取ったような、繊細な描写と感情の表現とドラマがめまぐるしく展開しています。このストーリーに出てくる復讐と背信そして懲罰はあなたの心に永遠に残るでしょう。

 

「ショコラ」 Joanne Harris

この本は、フランスの田舎で繰り広げられる物語で、ある村に小さな娘を連れてやってきたヴィアンヌ。彼女はチョコレートの店を開き、村人は彼女たちに魅せられるが、厳格な司祭ルノーの怒りを買う。ここでは教会」と「ショコラ」の戦い。そして、「愛」と「教会の教義」の対立が、ヴィアンヌとルノーのそれぞれの日記風の書き方で、おもしろく繰り広げられています。

 

「ワイルド・スワン」 Jung Chang

中国の三世代にわたるノンフィクション自伝。祖母・母・作者という3人の女性の人生を通して、私たちは、「中国の昔ながらの慣習に生き」、「革命を生き抜き」、「また毛沢東の暴政に生きた」人生を知ることができる。この本は歴史的なことを学ぶ彼女自身の個人的な洞察が、とてもうまく書かれています。