新ホームページ公開 ! 「資料入手フロー」と「情報リタラシー習得術」
創価大学中央図書館閲覧係
この度、レポートや論文作成の強力な武器として両ホームページを立ち上げた。その背景・目的を記したい。
(1) 資料入手フロー
「資料入手フロー」のアクセスポイントは、基本検索画面の右上に表示されている。このサイトは、学習テーマや研究テーマについての資料をどのように探し、いかに手に入れることができるかが一画面で図式化されており、個々のアイコンをクリックすると資料検索サイトや説明文へとナビゲートする仕組みとなっている。
何故このホームページを作成したかについて背景を説明をしておきたい。
主にこの5年間で本学図書館は、資料の利用面で大きく変化してきた。この間にデータベースや電子ブック・ジャーナルが整備されてきたことで、その変化を加速させた。1990年代までの大学図書館は、極端に言えば明治時代の図書館の機能とあまりかわりはなかったのではないかと思う。その理由は、次のように言うことができる。創大15期生までは、図書や雑誌が本学図書館にあるかどうかを調べるためには目録カードを利用しなくてはならなかった。また、創価大学図書館に所蔵していない図書を調達するのはとても面倒で、国内のどの大学図書館にその本があるか、かたっぱしから各大学図書館が発行した「○○図書館蔵書目録」を調べるしかなかった。また、他大学から借用する際の手続きも所定の申込み用紙によるなど今から考えるととても苦労がいった。雑誌論文にいたっては更に調達が難しかった。研究テーマに関連した雑誌論文を調べるためには、今では懐かしくなった冊子体の「雑誌記事索引」(国立国会図書館発行)で探すことができたが、索引は、分野別・年代別に分かれていたため、探し当てるのがとても大変だった。また、その論文がどの図書館にあるかは主に「学術雑誌総合目録」などの冊子体で図書館員が調べるが、その頃は4年に1度しか所蔵情報が更新されないため、目当ての論文の掲載号が所蔵されているかどうかを確認するのに時間と手間がかかって仕方なかった。以上、図書・雑誌論文の調達のしにくさを簡単に説明したが、この仕組みは、少なくとも本学開学時から1990年代中ごろまで続いていたのである。
西洋においては近世から、日本においては明治時代以降の司書(図書館員)の夢は何であったか。
それは、利用者が必要とする資料が国内の、または、他国のどの図書館にあるかを調べることができる仕組み(Accesibilityの確保)であった。もう一つは、探し当てた資料をホームライブラリーにいながら入手できる仕組み(Availabilityの確保)であった。その2つの夢は、ほぼ実現化したといって良いだろう。即ち、Accesibilityについては、図書で言えば、WebcatPLUSやRedlightGreen等で、雑誌論文で言えば、MagazinePLUS、CINII、FirstSearch等で学習・研究テーマに沿った資料を検索できる時代になった。Availabilityについては、他の図書館からの資料調達システム(ILLシステム)が整ったことで面倒な手続きがなくなり、また、電子ジャーナル・ブックの出現によりパソコンで論文や本を読めるようになった。このAccesibilityとAvailabilityの機能は、今後完全に統合化される時代もそう遠くはないだろう。
しかし、AccesibilityとAvailabilityが整ってきた反面、利用者は資料を探すにしても調達するにしても、それらの方法が多様化したため、かえって困惑するようになったのではないか。どのサイトが研究目的に最適なのか、どの程度データが収録されているのか、どのように操作するのか、など旧来とは違った意味で、課題や問題が生じている。入手手段も多様化しており、ID、パスワードが必要であったり、ブラウザの不具合が生じたり、ネットワーク障害が発生するなどの問題も時として起きることがある。このようなマイナス要因があったとしても、それでもなお資料の検索と入手がインターネットを介して実現できることの意義は大きい。それゆえ本学図書館としては、資料の検索方法と調達方法の全体像とルートマップを明示する必要性を感じていたが、導入データベースや調達システムも整備・安定してきたため、ホームページ化に着手し、この度公開に踏み切った。このホームページは、教員にとっても利用価値があると思う。学生から資料の入手方法を尋ねられた際、その学生がどのポイントに立っているかが判断できれば、その方向を示すことができるからである。
なお、「資料入手フロー」は、基本的なものだけを図に反映させただけなので、他の資料検索サイトがあることや手続きの詳細についてはあえて明示していないことを了承願いたい。明示すると、図が複雑化しかえって分かりづらくなるので省略した。また、このホームページは、学部3年次生以上、大学院生及び教職員を主たる対象者としている。今後、新入生や学部2年次生を対象にした「資料入手フロー(簡易版)」を作成する予定である。
(2) 情報リタラシー習得術
「情報リタラシー習得術」のアクセスポイントは、「資料案内」の一番先頭及び「資料入手フロー」の右上に表示されている。
情報リタラシー能力を高めることは、学生時代のみならず社会人になっても更には生涯学習においても必須の能力だと言われている。そう言われる背景はいくつかあるが、端的に言えば、インターネットの普及で情報が大氾濫したため、学習・研究・業務に取り組む上で、情報を的確に選択・評価・判断できる能力が必要不可欠になったからである。YahooやGoogleでレポートテーマに即した情報を入手し、Cut&Pasteで仕上げる学生も増えてきていると指摘されているが、そうした安易な情報の活用に対する警告の意味合いで「情報リタラシー能力」という言葉が文脈の中で使われる場合もある。
今回、新ホームページとして立ち上げた「情報リタラシー習得術」は、トップページのみ本学で作成し、その中の個々の内容については、慶應義塾大学日吉メディアセンター及び三田メディアセンターに許可・協力を得て「KITIE」に丸ごとリンクさせてもらった。本来であれば、創価大学で独自で作成すべきであるが、現段階ではこうしたホームページの効用を速やかに学生・教員に提示することを優先させた。今年に入って情報リタラシー能力を高めるためのホームページ案を練り始めあれこれ考えていた際、参考のために他大学の先行例をホームページで探し比較検討したみたが、その中で、慶應義塾大学の「KITIE」の完成度が素晴らしく、また内容や表現が懇切丁寧でかつ極めて分かり易かった。「情報リタラシー」のホームページの姿としてこれ以外の形を思い浮かべるのが難しく思えるほどであった。しかし、「KITIE」の個々のページを見てもらえばわかるが、記述の中にホームライブラリーとの関係性が必ず示されているため、このまま「KITIE」のリンクで済ませるわけにはいかないことも重々承知しているので、なるべく早い時期に創価大学版「KITIE」ならぬ「SITIE」(仮称)を作成する予定である。
話を元に戻すが、情報リタラシー能力が何故必要なのかについては、この「情報リタラシー習得術」の各内容を読めばわかる。そのさわりを紹介すると以下の通りである。
・情報の種類と特徴:「世の中にあふれる情報の中から、自分に必要かつ十分な情報を選択し入手
するためには、どのようなスキルを身に付けていればよいのでしょうか?」
・情報検索の基本:「効果的に情報を収集するにはどうしたらよいのでしょうか? そのためには
戦略をたてる必要があります。」
・インターネット検索:「何かを調べるときに、まずインターネットで調べるという人がたくさん
いると思います。しかし、必要な情報をすべてインターネットから得られるわけではありませ
ん。」
・情報を評価する:「みなさんが利用する情報の正しさや妥当性などが、そのまま主張の正しさや
妥当性の判断材料となります。」
上記の他にも学生が身に付けるべきスキルであるレポート作成方法やプレゼンテーションの方法などが効果的に案内されている。全部で約200ページに及ぶこの「情報リタラシー習得術」は、レポートや論文を書く際に是非利用してもらいたい。そして、素晴らしいレポートや論文を発表してもらいたいと念願している。