私の読書日記

 

三瀬 博子経済学部

 

 昔から読書はキライではなかったが大学に入ってからピタリとやめてしまった。忙しかった、というか余裕がなかったのだと思う。そんな私が読書を始めたのは、授業中の講師の言葉がきっかけだった。

 

 「今、時間があるうちに、できる限り読んでおくといい。一人の作家に絞って全作品読んだり、テーマを決めて読み深めたり。そんなことができるのは、学生の間だけだ。」

 

 そんなもんかなぁ・・・と思いながらも、足は自然に図書館へ向かっていた。目標や気負いがあったわけじゃなく、でもなんとなく読んでみようかなと思えたから。ちょうどこの頃図書館主催のSoka Book Waveが行われていて、「読むだけで図書券がもらえるなら・・・」とこちらもほんとに軽い気持ちで登録した。

 

 真っ先に向かったのは3階のエンカレッジ文庫。迷った末、山本周五郎の「さぶ」を借りて読んでみることにした。家に戻って読み始めると、そのおもしろさにどんどん引き込まれていくのを感じた。主人公とさぶは同じ店に奉公している同い年の少年である。二人の夢は力を合わせて自分たちのお店を持つこと。ところが主人公は無実の罪に問われて捕らえられてしまう。

 

 このあとどうなるのかな? 次は何が起こるんだろう?・・・ 気になったら読むのがやめられない。食事中、トイレ、バス、お風呂や布団の中で、いつでもどこでも読めるときに読んだ。いつのまにか山本周五郎の作品は半分くらい読んでしまった。同じ作家の本を一通り読もうとすると、少しその作家の方向性や色も見えてくる。感想カードは途中でなくしてしまったので結局換金はできなかったが。

 

 本はいつも私にアドバイスをくれる。物語をくれる。そしていつも、余裕をもらっていたと思う。私もあまり暇なほうではないから、読書してる時間なんてない!と思っていた。でも夢中になってしまうと時間や場所はいつの間にか関係なくなっていたみたいだ。どんなに自分は忙しいと思っていても、こじ開けられる時間はまだまだたっぷりあると思う。今は授業も始まってなかなか読書の時間が取れないが、これからも少しずつ読書は続けていきたい。