図書館のサービス転換-現在から未来へ

 

                                    松岡幸恵(中央図書館)

平成15年度図書館サービスの改善内容

 平成12年度以降図書館は様々な改革・改善を図ってきましたが、平成15年度においては、利用者サービスの向上および資料充実にポイントをおき、約20項目の改善をいたしました。4項目のみ内容を紹介します。

 

(1)新聞書評図書展示(平成15年11月よりスタート)

「朝日新聞」、「毎日新聞」、「読売新聞」、「産経新聞」、「東京新聞」、「日本経済新聞」の毎週日曜日の朝刊に掲載されている書評欄で取り上げられた図書を、書評の切り抜きを添えて1F閲覧室に毎週展示しております。この新聞書評図書を展示する目的は、個人の研究目的以外の図書に目を向ける際の読書案内として、また、現在、社会で注目されている図書にふれることで、隔たりのない知識習得を図っていただくためです。全国一般紙6紙に掲載される書評はそうした意味ではうってつけの手段だと図書館は考えました。なお、書評は毎週月曜日には切り抜いた上、所蔵しているかどうかを調査し、所蔵していれば図書を書架から集め、書評切抜きとドッキングさせます。所蔵していない図書については極力発注をするようにしております。このようにして、毎週新鮮な書評図書をご紹介しております。書評図書の詳しい内容や表紙の画像をご覧になりたい場合は、下記紀伊國屋書店のサイトをご覧ください。

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/tanabsel.cgi?TCODE=N

 

(2)携帯電話からのサービス開始(平成15年8月よりスタート)

 携帯電話の機種を問わず、サービスを開始しました。ご利用頂ける内容は、「蔵書検索」、「開館日程」、「図書館新着情報」の3点です。これらの機能に加え、貸出図書一覧と継続貸出申請が携帯電話からできるように、現在検討中です。アクセス先は、http://osirabe.net/opac.soka-u/

 

(3)他大学研究紀要保存を図書館に一本化(平成16年2月スタート)

 学内の各共同研究室に保存、運用されていた他大学の研究紀要を中央図書館にすべて保存することになりました。このことにより、最新号も含め、学部学科を問わず、すべて閲覧できる環境が整うようになります。 

学術雑誌の多くは大学の研究紀要であり、学習・研究を進める上で不可欠な資料です。学内の各棟から図書館に来ることは少々面倒ですが、各共同研究室に分散して保存されているよりは、利用条件が改善されると考えます。このことは、長い間、大学院生を中心に要望事項として上げられていた内容です。現在順次整理段階に入っており、所蔵検索は、本年(平成16年)9月からの運用を予定しております。

 

(4)創価大学図書館5指針発表(平成16年3月17日)

 平成16年1月、創立者が来館された折、館内で勉強中の学生の代表に差し上げられた箴言から選ばれたものです。いずれも、読書の重要性が留められていますが、この5指針の一つ一つは、それぞれの時に、それぞれの人の心に響くものと思います。

 <5指針>

.読書は 黄金の輝き                  Reading imparts golden light.

.読書は、勝利者の源泉                 Reading is the source of winners.

.読書は、幸福の伴侶なり               Reading is a companion of happiness.

.読書は、偉人への道                Reading is the road to greatness.

.良書を読め 悪書を叩け それが正義の人なり
                                        Read good books and condemn bad books
                                        - This is the way of a champion of  justice.

 

●今後のサービス展開

 平成12年度から15年度までのサービス改善は、他大学のサービス内容を参考にしたり、スタッフで話し合うことにより行ってきました。それなりに大変ではありましたが、改善すべき点を列挙し、取り組みに至る過程は、比較的スムーズに実施出来てきたと思います。その結果、現在は他大学並みのサービスが実現できていると思います。

しかし、これからの計画、改革については、真価が問われるものと考えます。その視点に立った今後のサービス展開のポイントは、以下の4項目です。

 

(1)ますます進展する情報化社会への対応

高度情報化社会に対応する図書館としてサービスを向上させていくためには、相当な研究と注意が必要であると考えています。デジタル資料、ネットワーク、データのストレージ、メディア変換、検索のインターフェース、利用者認証など、現時点においても日々刻々と変化し、対応に追われています。今後更に流れは多様化し、スピードアップしていくものと思われます。しかし、新技術への適応=利用の向上、と捉え、果敢に挑戦していくことが重要だと考えております。

 

(2)資料の充実

図書館サービスのもっとも大きな要素が資料の充実であることは間違いありません。しかし、図書館資料の充実は、一挙に実現できるものでありません。図書館の資料は、開学時頃を起点として収集が開始されたため、各学問分野の基本書の多くが欠落しているものと思われます。これまで古書店等のカタログ等を参考にしながら着実に収集を図ってきましたが、本年度(平成16年度)から、積極的に収集を図ってまいりたいと考えています。

(3)図書館員の対応

 昨年秋、利用者アンケートを実施いたしましたが、その際、図書館員の接客態度が適切ではないとの率直なご意見を頂きました。顔と顔を見合わせるカウンターでの態度、声だけのつながりとなる電話応対と、当館ならではのサービスのあり方をスタッフの意識変革とともに、向上させていくべきだと感じております。制度的、物理的なサービス向上は、積極的に取り組んでまいりますが、利用者の皆様が敏感にサービスの良し悪しを感じる大きな要素が館員スタッフの人的サービスであることを肝に銘じていきたいと考えております。

 

(4)利用者の皆様の側から

図書館のサービスが良いと感じる大事な要素として、利用者サイドの視点があります。

1.     図書館という場が、心地よい、読書しやすい、静かである、それらも図書館のサービスの大事な要素です。そのためには利用者の皆様の図書館にふさわしいマナー意識にお願いする以外にないと考えております。

2.     真剣に学習する利用者の姿そのものが、図書館の最高のサービスだと考えます。利用者の皆様は、読書や学習、研究のために図書館を訪れます。閲覧室で、学友が真剣に勉強をしている、そのような姿に接した際の刺激は、学習意欲の向上に大きな影響を及ぼすと考えられるからです。

 

 以上のように、平成16年度も社会の動向に目を向けながら、さらには、利用者からの声に真摯に耳を傾けながらこれまで以上にサービスの向上に力を注いでまいります。皆様方からの意見、指摘、要望が寄せられることが利用者の皆様にとってフィットしたサービスに繋がると思いますので、ご協力をお願いします。