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2025年9月

本学文学部3年生の書評が『週刊読書人』へ掲載されました!

SBW
本学文学部3年・清水正行さんの『夜間飛行・人間の大地』(サン=テグジュペリ著, 野崎歓訳,岩波書店,2025年)の書評が、2025年8月29日付の書評専門紙「週刊読書人」の『書評キャンパス・大学生がススメる本』に掲載されました。
清水さんに書評応募のきっかけや掲載された感想などを伺いました。
  
——掲載おめでとうございます!「書評キャンパス」に応募されたきっかけを教えてください。
以前から書評に興味はあったのですが、少し大変かなと思ってこれまでは応募していませんでした。しかし、今年に入って、本格的に小説の賞に応募し始めたということもあり、文章力を試すためにも挑戦してみようと思ったのが応募のきっかけです。
実は、私は大学生になってから「小説の賞に応募するぞ」と意気込んでいたのですが、2年生まで何も行動できていませんでした。けれども、3年生になった今はみんなが就職活動を始める時期でもありますし、「いい加減、本腰を入れてやらないといけない」という気持ちが強くなりました。教職課程の勉強の傍ら、本気で小説家を目指そうと。その一環として図書館に置いてあるチラシで見つけた「書評キャンパス」のような活動も積極的にやってみようと考えました。
 
——今回、『夜間飛行・人間の大地』(サン=テグジュペリ著, 野崎歓訳,岩波書店,2025年)を選ばれましたが、この本を選んだ理由などがあれば教えてください。
この本を選んだ一番の理由は、発売されてすぐの新訳版だったからです。
ちょうどその頃、書店でアルバイトをしていて、休憩時間に棚を回っていたらたまたま見つけました。その時はサン=テグジュペリという作者名には気づいていなくて「パイロット兼作家の方の話」と聞いて、読んでみようと思いました。
普段から読書ノートをつけているのですが、気に入った一節をメモしていくと信じられないくらいの長さになってしまって。さすがに「こんなに面白いのはおかしい」と思って作者をよく見たら、サン=テグジュペリだったんです。「この人だったのか!」と。読み進めている間は全く気づいていなかったので驚きました。結構分厚い本ですが、すごく読みやすかったので一週間くらいで読了しました。
 
——この本のどういった点に面白さを感じましたか?
とにかく表現力が唯一無二であると感じました。文章の言葉選びが素晴らしいんです。例えば、パイロットが空へのぼっていく時にどんどん小さくなっていく町を「大地を支配している」と思いながら飛んでいく描写や、嵐と戦って雲の上に出たものの、自分がどこにいるか分からなくなって墜落寸前になってしまうパイロットの心情などが描かれていて、まるで目の前にその風景が本当に描かれているかのようで、心が伝わってきます。私もこんな風に本が書きたいと思いました。
翻訳も本当に素晴らしく、サン=テグジュペリ自身の感受性や表現力が、翻訳者によってきれいに汲み取られている。その二つが合わさった傑作だと感じました。
 
——この書評を書くにあたって、読者に一番伝えたかったこと、感じて欲しかったことは何でしょうか?
「この本だからこそ得られるものがある」ということを伝えたかったです。サン=テグジュペリでなければ、この時代とこの感受性が合わさった表現は絶対に生まれてこない。そこを読まないと絶対に得られないものがある、ということを伝えたかったです。「唯一無二の読書体験をしてほしい」という気持ちです。
私はいつも、「この作者にしかこれ書けないな」と思う一節を意識しながら読むのですが、『夜間飛行・人間の大地』では、本当に気に入った一節が多すぎてノートに書ききれないほどでした。それくらい人の心を打つ、この本でしか絶対に味わえない表現が詰まっている、まるで宝物箱のようなこの本をぜひ読んでほしい。「こんなに面白いんだよ」という気持ちを込めて書きました。
 
——お忙しい中で大変だったかと思いますが、執筆はどのように進められましたか?
まず、どのように書くか大まかなレイアウトとアウトラインを考えました。それから、それぞれのパートに何を書けるかを洗い出し、紹介・あらすじ・自分の感想という順番で並べ替えて、文章を整えていきました。伝えたいことが多すぎるあまり、当初は文量がかなり長くなってしまって、「まずい」と思っていろいろ削りました。結果的には無駄な部分がまとまって、良いものができたと感じています。
 
——原稿は「週刊読書人」編集部の方に直接添削していただきましたね。どうでしたか?
主に文章を整えてもらうという感じでした。例えば、口語的な表現を書き言葉に直したり、重複した部分を削ってもらったり、といった形です。
編集部の方は本当に「書評のプロ」で、文法的な部分だけでなく、表現上で「作品」と言うべきか「本」と言うべきか迷っていた部分を「作品」に統一してくれたり、「『一夜の経過』という言葉を追加すると良い」といったアドバイスをくれたりしました。すごくありがたかったですね。私の書きたいものを全く崩さずに修正してくださったので、とても良い経験になりました。
 
——周囲からの反響はありましたか?
友達に話したら「え、本当!?」と驚いてくれて。「お前、文章書く人だったんだ!」と(笑)。やはり実際に掲載されると違いますね。ウェブサイトにも自分の名前が載っていますし。紙媒体の目次にも「大学生がススメる本」と載っていて、「俺じゃん!」って(笑)。自己紹介の欄も載っているので、誰か読んでくれる人がいるかもしれないと思うと嬉しいです。「週刊読書人」は多くの図書館などにも置いてあるので、本を読む方に読んでもらえる可能性が高いのもありがたいです。
 
——最後に、「書評キャンパス」を終えての率直なご感想と今後の抱負を教えてください。
すごく楽しかったです。本を読むうえでの「活力」にもなりましたし、「こう読んだらもっと良い書評が書けるな」といった発見もあって、メモの取り方なども学ぶことができました。
「週刊読書人」編集部の方に、こんなにしっかり添削してもらって、自分の書いた書評が「形として残る」というのが信じられないくらい嬉しかったですね。これまで小説の賞などに応募しても、原稿が返ってくることも掲載されることもなかったので、初めて自分の文章がきちんと形になって、すごく達成感があります。まさに「第一歩を踏み出した」という感じで、自信にもつながりました。
自分には「小説家になりたい」という思いがあるので、今回の経験を糧に、これからも執筆活動に挑戦していきたいと思います。
 
 
(写真)文学部3年・清水正行さん
「一人でも多くの方に図書館を利用してもらいたいです!」
 
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『書評キャンパス』とは現役大学生・大学院生が自ら選書・書評するコラムです。
提出後は、「週刊読書人」編集部が指導を行います。
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そういう方には、貴重な機会ですので、ぜひ挑戦してみましょう。
 
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