『 忍ぶ川 』

著者 ： 三浦哲郎

1839年の今日は三浦哲郎の生誕日。
今日の一書は三浦哲郎の小説作品で『新潮』1960年10月号に掲載、同年に貧窮の中に結ばれた夫婦の愛を高らかにうたって第４４回芥川賞受の表題作『忍ぶ川』。
　兄姉は自殺・失踪し、暗い血の流れに戦（おのの）きながらも、強いてたくましく行き抜こうとする大学生の『私』が、小料理屋につとめる哀しい宿命の娘志乃にめぐり遭い、いたましい過去を労わりあって結ばれる純愛の譜。　読むたびに心の中を清冽な水が流れるような甘美な流露感をたたえた名作である。

ほか「初夜」「帰郷」「団欒」「恥の譜」「幻燈画集」「驢馬」を収める。