今日の一書 : 2012年12月6日(木)
『 三十光年の星たち (上・下) 』
著者 : 宮本輝
京都に住む三十歳の坪木仁志は、職を失い、恋人に捨てられ、明日の生活もままならない。親に勘当され、金貸しの佐伯平蔵から借りた八十万円の借金を返せるあてもない。
そんな仁志に佐伯はある提案をする。それは、借金返済の代わりに仁志を車の運転手として雇い、返済の滞る人びとのもとへ「取り立て」に出かけるというものだった…。
仁志にそんな経験などあるはずもなく、完全に及び腰になるが、断れば明日はホームレスだ。そこで、仁志は恐る恐る答える。
「自分なりにやってみます」
しかし、佐伯の答はこうだった。
「自分なりにという壁を越えるんだ。きみは世の中に出てからずっと自分なりにしか頑張ってこなかったんだ」
佐伯とともに旅をすることになった仁志には、どんな出会いが待っているのか。