今日の一書 : 2013年1月24日(木)
『 落穂拾ひ (小山清全集) 』
著者 : 小山清
今日の一書は、先日放送されたTVドラマ「ビブリア古書堂の事件手帳 第二話」で出てきた小山清の「落穂拾ひ」です。
主人公は貧しい小説家。ほとんど誰とも話さない生活を送っている。
そんな日常の中、よく通う古本屋で若い女店主と言葉を交わすようになっていく。するとある日、彼女は主人公と同じ日に生まれた芸術家の名前を教えてくれた。同じく貧しい生活の中で創作を続け「落穂拾い」を描いた画家ミレー。
そして、彼女は主人公の誕生日プレゼントにと爪切りと耳かきを贈ってくれた。
「この物語が実録かどうか、それは言うまでもない。」
この一文でこの物語は終わる。
私は、なぜ彼女が身だしなみの道具である爪切りと耳かきを贈ったのか。そこが気になって仕方ありませんでした。 ですが、この本には次のようにも書いてあります。
「その人のためになにかの役に立つということを抜きにして、僕達がお互いに必要とし合う間柄になれたなら、どんなにいいことだろう。(『落穂拾ひ』より)」
「その人の為に」と言うと押しつけがましさを感じ、「何かの役に立つ」と言うと利害関係がちらつきます。
そんな事を考えない付き合い、何気ない日常を描いたこの作品に、あなたは何を感じるでしょうか?