今日の一書

今日の一書 : 2013年5月10日(金)

『 社会統合と宗教的なもの:十九世紀フランスの経験 』

著者 : 宇野重規;伊達聖伸;高山裕二

フランス革命では、カトリックがその標的となり、宗教が激しい批判にさらされてきた。続く一世紀は、しかし、逆説的に宗教批判を通して宗教がはたしてきた役割を問い直し、その機能を新たに作り直そうとした時代であった。人間性の解放をうたったユゴーはもちろん、フランスのさまざまな思想家・学者が社会の統合と「宗教的なもの」について論じてきた。
政教分離を唱えつつも人間精神を支える「絶対的なもの」が必要だと訴えたラムネや、権力の介在なしに共感による市民社会の結合を説いたコンスタンなどの視点は、不安定さの増す現代日本においても注目をすべきであろう。

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