今日の一書 : 2015年3月10日(火)
『 トマ・ピケティの新・資本論 』
著者 : トマ・ピケティ(著) 村井 章子(翻訳)
先日、経済格差の論客として知られるフランスの経済学者、トマ・ピケティ氏が来日し、大きな話題となりました。著書『21世紀の資本』はアメリカでは2014年春の発売以降、半年で50万部のベストセラーとなっており、日本語版も2014年冬に発刊されています。
ここに収めたテクストは、グローバル金融危機直後からその余波が尾を引く状況の中、またユーロ圏が深刻な信頼の危機に襲われ、デフレと景気後退に直面する中で、社会科学の一研究者が公の議論に参画し、政治や経済にまつわる時事問題を読み解こうとする試みを形にしたものである。 おそらく賢明なる読者は、自国の置かれた状況がヨーロッパといくらか似ていると気づかれることだろう。日本もまた巨額の公的債務を抱えているし、個人資産が急激に増えている点でもヨーロッパと共通する。だから本書は、日本の読者にもなにがしか役に立つと信じる。本書が日本において有意義な議論を喚起するきっかけになれば、著者としてこれにまさる喜びはない。
(トマ・ピケティの日本語版への序文より)