今日の一書 : 2015年7月8日(水)
『 ドイツ論 2 』
著者 : スタール夫人
アンヌ・ルイーズ・ジェルメーヌ・ド・スタールは、スイスの政治家・財政家ジャック・ネッケールの娘としてパリに生まれた。幼いころから両親に連れられて哲学者や文学者が集まるサロンに足を運び、早くからその才能が開花する。
1795年に発表した『小説論』はゲーテに絶賛され、ゲーテ自らが独訳を行った。次いで発表した『個人並びに国民に及ぼす情熱の影響について』は、モラリスト的な立場から熱情と愛について描いた。
二度にわたってドイツに旅行し、ゲーテやフィヒテにも会った体験から、ドイツの思想と芸術を紹介した文明評論を著す。本書はそのうち、文学と芸術について書かれたものである。スタール夫人が抱いたのは、人々の精神的向上のために隣国ドイツの文化を取り入れる必要があるとの信念であった。