今日の一書 : 2015年9月10日(木)
『 ユニバーサル文学談義 』
著者 : 森本真一×白岩英樹
人間は長い歴史のなかで幾度もの失敗を繰り返し、文明を高度なものに発展させながら、各々の文化を深めてきた。文化が深まることは、他者のありように対する視力が上がることでもある。われわれはまだ見ぬ他者を想像して、自己のテリトリーの向こう側へも懸命に手を差しのべられる域にまで深化していた。国家としても、共同体としても、個人のレベルでも。文化とは究極のところでは、他者の痛苦に対する歩み寄りの度合いで決まる。(白岩英樹 「前書き」より)
物流のための橋は、あくまで堅固であるべきでしょう。しかし、橋渡しとか架け橋などというときの橋には、人と人との心を繋ぐデリケートな意味合いが含まれているのではないでしょうか。そこには、他者との出会いへの切ない望みも託されている気がします。我々の対話が当事者同士の絆を強め、この本を目にされる方々と私たちとの間にささやかではあっても学問的、人間的な交流を齎せれば喜ばしいと思います。 (森本真一 「後書き」より)