今日の一書 : 2015年12月1日(火)
『 かたづの! 』
著者 : 中島京子
江戸時代、遠野に女大名がいたという。その波乱万丈の生涯を、一本角のカモシカ(正しくはその角)が語る。物語の主人公「祢々」(ねね)は、
『戦で一番重要なのは、戦をしないということ』
そう家臣を説いて、血を流さない、一人も無駄死にさせない選択をし、関が原から十数年しか経っていない時代に小さな領地を守り抜いてゆく。
史実を基に、河童や猿、屏風に描かれたペリカンなど、動物や不思議な生き物も登場する歴史ファンタジーである。
著者初の歴史小説にして、2015年の柴田錬三郎賞を受賞した作品。ファンタジー好きにも時代小説好きにも読んでもらいたい一書である。