今日の一書 : 2016年7月25日(月)
『 こうして世界は誤解する : ジャーナリズムの現場で私が考えたこと 』
著者 : ヨリス・ライエンダイク
世界中から注目される報道の最前線にいながら、月日とともに
実感したのは「自分が真実を伝えていない」ということだった——
国際的な西欧のメディアはいつも同じ情報源から得たネタを流す。
報道特派員である著者は、本部が用意した原稿を読むためにカメラの前に立つ。視聴者の「見たいもの=ステレオタイプ」にそぐわない記事は却下され、そして反対意見を取材しようにも、独裁政権下では誰もが口を閉ざし、嘘をつく。
映像や写真では人だかりができているように見えるかもしれない。
しかし、現場にいれば目に入るのは、ほんの数人の怒れる人々だ。実際そこにいるのは、西欧のことを敵視していたり、あるいは紛争や弾圧の恐怖に怯えたりする人ばかりではない。楽しみや悩みを持ち、ジョークを言って笑い合い、そして誰にも語ることのない物語を持った人々だ。
私たちが触れる情報は、いったいどこまでが真実なのか。
この本は真実を知ることの難しさを教えてくれる。