今日の一書 : 2016年9月28日(水)
『 スピノザの世界 : 神あるいは自然 』
著者 : 上野修
スピノザの『エチカ』という本を開いてみたことがあるでしょうか。
倫理学の本だと思い手にとってみれば、まず飛び込んでくる【定義】の文字。「定義一 自己原因とは・・・」から始まり、さらに【公理】が示され、続々と【定理】が導かれていく。この本の正確なタイトルは『幾何学的順序で証明された倫理学』その名の通り、そこでは幾何学的な論証が行われているのです。
本書では、その独特なスピノザ哲学について、手軽に、スピノザの思考の中に入り込むように知ることができます。
「知性と欲望は対立するどころか、哲学の営みの中で同じ一つの衝動の下にある。大丈夫、失うものは何もない。守るものなどはじめから何もないとスピノザは言う。哲学は生の強度として生きられるのである」(本書p39より)
読み進めるにつれスピノザに興味が沸いてくる、読み終えたときにはスピノザの著書に手を伸ばさずにはいられない、入門に最適な一書です。