今日の一書 : 2016年10月18日(火)
『 漱石の思い出 』
著者 : 夏目鏡子述 ; 松岡譲筆録
日々その顔を拝んでいるし、書かれた作品の数々は誰もが知っている文豪。
しかし、文豪だろうが凡人だろうが私生活があるのは万人に等しく、本書はその私生活、人間漱石を垣間見るのに最適であろう。
あくまでも鏡子夫人の思い出を綴ったものであり伝記ではない。
家族の目に映った生身の漱石が活き活きと描写され、特に研究書の類では書かれていない漱石のダークな部分も浮き彫りになっている。
ただやはり、語られる内容は妻から見た愛情のこもった漱石像であることは間違いない。
夏目漱石没後100年。
下手な研究書を読むよりもまずこの一冊。