今日の一書 : 2016年10月28日(金)
『 戦場のコックたち 』
著者 : 深緑野分
戦場が舞台の作品である。
主人公ティムは新米のコック兵。仲間と共に戦場で起こる小さな謎を解きつつ、連作短編集のかたちで物語は進んでゆく。
『僕』が見た戦争の悲惨さ、残酷さ。思わず読むのが辛くなる場面も少なくない。しかし、どうしても続きが読みたくなるその文章力に引き込まれ、気が付くとエピローグまで辿り着き、その読後感は何とも言えず胸にジーンと染みる余韻を残す。
最後の謎解きも面白いし、納得できる。
戦場とコック、生と死。命の対比が鮮やかな、深いメッセージの込められた良書である。