今日の一書 : 2017年3月9日(木)
『 あるようにあり、なるようになる : 運命論の運命 』
著者 : 入不二基義
運命という言葉はいたるところに顔を出す。古代ギリシャから現代まで。ちょっとした小説の中にも、重厚な哲学書の中にも。
そして、本書のテーマである運命論とは、運命の存在を肯定しようとする議論のことだ。それを擁護する人も批判する人もこれまで数多くいたが、著者は運命論自体を考察しその概念に迫ることで、あらたな位置づけを与えている。
盲目に受け入れるのではなく、論駁だけして放棄するのでもない。その考察からたどりつく自由と運命の関係性には、不思議な爽快さが感じられる。