今日の一書

今日の一書 : 2017年4月18日(火)

『 世界の果てのこどもたち 』

著者 : 中脇初枝

満州で出会った出自の全く違う三人の少女たちがこの物語の主人公だ。国民学校で同級生となった彼女らは民族や言葉の違いを超えて親しくなってゆく。ある日、突然の洪水に見舞われるが三人だけでやり過ごし、その時に触れた友のやさしさ。その後、戦争に翻弄されながらも各々が懸命に生き抜き、40年後に再開を果たす。
「忘れようとしても忘れられない、つらい記憶。でもそれ以上に忘れられないものがあった」
記憶の中に残された、人と人とのつながり。彼女たちの波乱に富んだ人生を支えたのはあの日の友とのやさしい記憶だった。
あらためて、人を支えるのは人であり、人の気持ちなのだと気づかされる。そして戦争の悲惨さは忘れてはならない、対極の記憶である。

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