今日の一書 : 2017年5月2日(火)
『 夜の讃歌 』
著者 : ノヴァーリス
ドイツの中央部に広がるテューリンゲンの森、その北側には広大なハルツ山脈が連なる。毎年、4月30日から5月1日の夜にかけて魔女が集会を開くという「ヴァルプルギスの夜」伝説で有名な、ブロッケン山を主峰にもつ山地である。その東麓のはずれで、ノヴァーリスは生まれた。1772年5月2日のことであった。
12歳の少女ゾフィー・フォン・キューンと運命的な出会いを経験、婚約したものの、彼女は重病にかかり15歳になったばかりで他界した。その悲愁の果てにゾフィーの墓を訪れた彼は、にわかに恍惚たる思いに包まれ、浄化されたゾフィーを霊視する体験を得た。これが彼の詩心を躍動させて、詩編『夜の讚歌』を生んだ。
本書は、わずか29年たらずで生涯を閉じたドイツ・ロマン派詩人の哲学と詩が融合したアンソロジーである。