今日の一書 : 2017年5月23日(火)
『 夜行 』
著者 : 森見登美彦
2016年下期の直木賞候補にノミネートされた作品。
学生時代に同じ英会話スクールに通っていた仲間で、鞍馬の火祭りを見物するため京都に集まることとなった。10年振りのことである。再会した彼らはその晩、それぞれが旅で出会った不思議な体験を語りだす…
10年前に失踪した、友人の「長谷川さん」。
それぞれが出会う銅版画の「夜行」。
そしてその銅版画の作者「岸田道生」。
物語の多くの部分は闇に隠されており、本当は何が起きたのか?それを読者それぞれに想像して頂きたい…と著者は語っている。
「終わりのない夜」をさまよう感覚を分かち合いたいとも。
第一夜から最終夜までのそれぞれの「夜行」はファンタジーというよりもホラーだろう。
これまでの著者の作風とはちょっと違う、せつなくて背筋が寒くなる物語である。