今日の一書

今日の一書 : 2017年10月3日(火)

『 サウスバウンド 』

著者 : 奥田英朗

みなさんは国家権力とか国民の義務とか、日常的に考えながら生活していますか?
本書の主人公、小学校6年生の二郎君は毎日考えなくてはなりません。
彼のお父さんは公安に目をつけられている元過激派で、常にそういう議論を吹っかけてくるからです。家の中でも家の外でも常にムチャクチャに振舞うお父さんに周りの人たちは翻弄され続けてきました。二郎君はそんなお父さんが恥ずかしいと思ってきました。そして極めつけはお父さんが突然下した西表島移住宣言…これには家族中が大わらわ。
でも本当に、お父さんのやっていることは荒唐無稽でしょうか?
人間が自由でいることとはどういうこと?
徹頭徹尾首尾一貫したお父さんの主張は、物語を読み進めていくうちに段々と理解できてきます。それは二郎君の心の動きと一緒に読者の心を動かします。
圧倒的なエンターテインメントと少年の成長物語、そして国家権力とは何かについて考察する機会を与えてくれる、目からうろこの傑作長編です。

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