今日の一書 : 2017年10月20日(金)
『 明治乙女物語 』
著者 : 滝沢志郎
2017年度松本清張賞を受賞した青春群像ミステリー。
表題の通り主人公は明治時代を生きた女学生たちだ。御茶ノ水にある高等師範学校女子部(通称女高師)の講堂で行われた舞踏会で爆発が起き、事件を調べていくうちに…と、物語はミステリーの体裁をとっているが、これは主人公の咲と夏が男女平等まだきの明治時代に、女性の教育向上と社会進出をかけて戦った歴史小説でもある。
時代背景も綿密に描かれており、鹿鳴館時代と呼ばれた当時がリアルに再現されている。フィクションだが実在の人物も登場し、だれが実在でだれが架空の人物なのかを考えながら読むのも楽しい。
凛として一本筋の通った明治時代の女性たちの活躍に、感動と勇気をもらえるはずである。