今日の一書 : 2018年1月16日(火)
『 ファウスト 』
著者 : ゲーテ
ゲーテ(1749-1832)はこの大作を24歳で書き始めて82歳で書き終え、83歳で没した。詩人の天才をもってしても完成に殆ど全生涯を要したのである。『ファウスト』第1部では、学問の無力に絶望した大学者ファウストが悪魔メフィストの助力を得て官能的享楽の限りをつくそうとするが、それは心清き少女グレートヘンの痛ましい悲劇に終わる。
グレートヘンの悲劇からたち直ったファウストは次に美を追求することで生の意義を把握しようとして果たさず、最後に人類のため社会のための創造的活動によってはじめて自己の救済にあずかる・・・・。脱稿した『ファウスト』第2部の原稿を前に、ゲーテは「私の今後の生活は全く贈物のような気がする」といってその完成の悦びを語った。