今日の一書 : 2018年2月15日(木)
『 ヒトラーの原爆開発を阻止せよ! : “冬の要塞”ヴェモルク重水工場破壊工作 』
著者 : ニール・バスコム ; 西川美樹訳
核分裂の連鎖反応を引き起こす際、中性子の速度を遅くするため減速材が使われる。アメリカのシカゴ大学で人類史上初めて連鎖反応の制御に成功したとき、エンリコ・フェルミらが使用したのは黒鉛だったが、ドイツにおいて理想的な減速材は重水だと考えられていた。
本書ではその重水を生産していた唯一の施設、ノルウェーのヴェモルク重水工場をめぐる、第二次世界大戦中の秘密工作が描かれる。
雪で覆われた極寒の地で行われる生死をかけた作戦はいくつもの困難に見舞われた。ノルウェー人兵士たちの葛藤と、それでもなお任務を遂行した勇気。壮絶な状況に立ち向かう人間の現実は、様々な人々に知られるべきだろう。