今日の一書 : 2018年3月29日(木)
『 会うまでの時間 : 自選歌集 』
著者 : 俵万智
この歌集には、自分自身の十代、二十代の日々が紡がれている…短歌が過ごした時間、というのは短歌が生まれるまで作者が過ごした時間でもある。三十一文字という短い言葉ではあるけれど、その言葉に自分が出会うまでに、どれだけ深く感じ、味わったか。その時間の厚みが、結局は歌の厚みになる。
形になるまでは時間がかかり、言葉になるときは一瞬で三十一文字になる……そういう歌が、自分としては、いいものが多いように思う。作るのは一瞬でも、その一瞬に会うまでの時間を、大切にしたい。
(あとがきより)