今日の一書 : 2018年7月9日(月)
『 ちくま日本文学 』
著者 : 森 鴎外
いつの頃であったか。———これまで類のない、珍しい罪人が高瀬舟に乗せられた。
庄兵衛は心のうちに思った。これまでこの高瀬舟の宰領をしたことは幾度だか知れない。しかし載せて行く罪人は、いつもほとんど同じように、目も当てられぬ気の毒な様子をしていた。それにこの男はどうしたのだろう。遊山船にでも乗ったような顔をしている。(本文抜粋)
薄い雲が月をかすませる夜の加茂川で、庄兵衛は衝撃の事実を知る。今日は森 鴎外の命日。文豪を偲び作品にふれてみてはいかがでしょう。