今日の一書

今日の一書 : 2018年10月25日(木)

『 沈黙 』

著者 : 遠藤周作

 長崎を訪れた遠藤が目にした踏絵には、それを踏んだ人々の「黒ずんだ指の痕」があった。そこに「信仰を裏切った人の声」を聴いたことがこの小説を書くきっかけとなった。

主人公は、キリシタン迫害の時代、布教の理想に燃えて日本に潜入してきたポルトガル司教セバスチャン・ロドリゴだが、そのロドリゴに先立って日本へ渡り棄教したフェレイラや、仲間や司祭を売り何度も告侮を繰り返すキチジロー、そして多くの司祭や信徒を転ばせてきた長崎奉行・井上筑後守、などが登場する。ロドリゴは再会したフェレイラから「(お前の)夢のために日本人の血が流される」と言われ、その言葉に導かれるように踏絵に足をかける。それは今まで誰もしなかった一番辛い愛の行為であった。
「踏むがいい。私はお前たちに踏まれるため、この世に生れ、お前たちの痛さを分かつため十字架を背負ったのだ。」(遠藤周作作品紹介より)

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