今日の一書

今日の一書 : 2018年11月30日(金)

『 ボートの三人男 : もちろん犬も 』

著者 : ジェローム・K・ジェローム著 ; 小山太一訳

イギリスユーモア小説の古典として名高い一書、その新訳である。ご存知の方は副題の「もちろん犬も」を見て、あれ?と思うかもしれない。この新訳が出るまで既刊の副題は「犬は勘定に入れません」で、意味としては反対のことを表していた。作中に出てくる犬のモンモランシーは三人の男、ジョージとハリスと主人公J(実は作者本人)がテムズ河を旅する上で(ある意味)重要な働きをするため、やはり勘定に入れておくのがよいかもしれない。舞台は19世紀のイギリス。休養を兼ねてテムズ川をボートで遡上する旅を計画した三人の疲れた男たちだが、出発するまでに一波乱、出発してからも波乱含みの連続…と人生休養するにも中々に骨が折れるのである。古きよき時代の上流階級の人びとをちょっぴり皮肉った英国流のユーモアを堪能しつつ、テムズ河やその流域に広がる自然の風景をも楽しめる一冊。

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