今日の一書 : 2019年9月11日(水)
『 さよなら、スパイダーマン 』
著者 : アナベル・ピッチャー
5年前、ジェイミーの姉、ローズは、イスラム過激派によるロンドン同時多発テロに巻きこまれて亡くなった。それ以来、父さんは酒におぼれ、母さんは家を出て行き、家族はばらばらになってしまう。10歳になったジェイミーは、ローズと双子だったもうひとりの姉、ジャスミンと父さんといっしょに、ロンドンから湖水地方に移り住む。環境が変わっても、父さんは相変わらず働かず、ローズの写真をながめてばかりいる。父さんにとっていちばんたいせつなのは、そばにいる家族ではなく、暖炉の上に置かれたローズの遺灰が入った壷なのだ。そんなやり場のない気持ちをかかえたジェイミーを救ってくれたのは、父さんがもっとも嫌うイスラム教徒の女の子、スーニャだった。
テロによる家族の死というテーマを、10歳の少年の視点から描いたブランフォード・ボウズ賞受賞作。