本書は、有名な美術作品の解説を通して、その作品をより深く理解する、そして美術の楽しみ方を教えてくれる本です。著者は、単なる美術作品の解説にとどまらず、画家の人生における当該絵画の位置づけや、当時の時代背景にまでさかのぼって、独自の視点から解説をしてくれるため、美術館でガイドをしてもらっているような気分になります。 特に、日本の浮世絵についての解説で、「他国からの文化を輸入した日本が長い間の年月を経てその美術を熟成させ、今度はモネやマネといった海外の美術家に影響を与えた」という個所については、なるほどと納得させられました。 本書のテーマは「一般の人に対する美術の啓蒙書のような本」とありますが、美術に興味のなかった自分でも関心を持って読むことができたので、美術に興味がある人はもちろん、そうでない人にも勧めることができる本だと思います。
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