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本書は教育の分野で、「ものの見方・考え方」を養うことのできる教育社会学で取り扱う様々な事象について書かれている専門書である。子どもは生まれながらにして教育格差を持っている、という教育社会学の見方はとても残酷だが、だからこそそこにどうアプローチをかけていくかについて考えることのできるきっかけとなった。この教育社会学の専門書をはじめとし、今後もこの分野についての専門知識を深めていきたい。
本書は、義務教育だから学校に通って当たり前、という固定概念を覆すことのできる本である。日本国内の教育だけでなく、日本とマレーシアを比較しての教育の在り方についても学び、今の日本の教育を一歩俯瞰した状態で見つめなおすことができた。子どもが「教育を受ける」から「教育を選ぶ」という概念で書かれているところが興味深かった。
本著は、フリースクール、ホームスクール、塾などのさまざまな学びの場にて 「学校に行かない選択」をした子どもたちのその先にある教育について書かれていた。学校は真ん中の教育が行われている場所であるから、学校に適応できない子が出て当たり前という視点が養われた。また、昔に比べて現在は子どものニーズの分だけ多様な学びの場が新しく作られていることを学んだ。
この本は浅倉秋成さんの話題になったミステリ小説である。ある会社の最終選考、そこで6人の大学生に起こった出来事をメインに描かれたものだ。私はこの本を読んで、人の考えほど単純なものはないと感じた。最終選考の中では、ページを追うごとに状況が二転三転する。穏やかな雰囲気から急な緊張、そして6人の互いへの気持ちもどんどん変化していく。選考の途中からはカオスそのものだ。現実ならそんな簡単に揺さぶられないだろうなんて、きっと読み手は言うことができない。なぜならこの本を読む自分自身の考えも、コロコロ変わってしまうからだ。知らなかった情報が明らかにされると、良い人、悪い人とレッテルを貼って喜んだりがっかりしたりしている自分がいる。読者も共犯だ。ただし、6人のうちの1人である嶌さんがメインになると、自分の気持ちも少し軽くなる。反省するとともに、人を信じようと思える前向きな気持ちが最後に出てくる。現代社会に溢れる情報に混乱している時、人を信じられない時にぜひ読んでほしい。
略奪婚をした専業主婦の満理子、女性誌編集者の悠希、不妊治療を始めた仁美、人気翻訳家の理央の4人は元同級生であり、東京での再会を機にそれぞれの悩みに向き合うことになる。この作品を読んだ時、どんな人にでも悩みがあり、その悩みは大体が表に見えないことであるということに気付かされる。だからこそ、お互いの思いや悩みを受け止め、支え合いながら生きて行くことが大事であると考えさせられた。華やかな外見に隠された女性同士の痛すぎる友情と葛藤を感じ、登場人物と共に苦しんだり、新たな視点で他者をみるきっかけになったりする作品である。
同じレコード会社に勤めるナオトとナナ。社内結婚禁止の規定を契機に退職することにしたのは、小説家になると言うナオトの方だった。しかし、思うようにいかないナオトは閉じこもり、卑屈になっていく。そんな中、ナナは自分への愛をストレートに表現する男と出会い、心が揺れていく。「愛はプライドよりも強い」ことに気づき「愛のためにプライドを捨てる」ことはできるのか。この世に存在する人たちの、ある1つの恋愛長編の作品である。この作品を読んだとき、愛は「相手の思いを大切にすること」が大切であり、無駄なプライドは必要ないと思わされた。また、愛をもったなら素直に伝えていくべきであることを感じた。読み進める中でナオトとナナのすれ違いに心苦しい思いをするが、最後に良い意味で裏切られる。どうしたら愛をもってうまく生きていけるのかを考えさせられる面白い作品である。
日本大好きフランス人のエッセイだ。フランス語には「我慢」に相当する語彙がないということに衝撃を受けた。嫌なことはしないのか、嫌と思わないのかは分からないが、ひたすら我慢する必要もないのかと新たな思想を得られた。頑張りすぎて疲れた人に薦めたい。
言霊信仰をベースとした自己啓発本だ。しかし、少々屁理屈っぽい点に他の本との違いがある。目の前にあるものの良い点に気が付ければそのまま生活が全体的に良くなっていくのではないか、というのが主張である。要は気の持ちようである。現状維持の言い訳がほしい時にまた読もうかと思う。
高所が怖いのは落ちるだろうという「思い込み」が原因だという。それと同じで、勉強ができないというのも思い込みが一役買っているという。気の持ちよう、というのをあの手この手で解説している。実際はそんなに単純な問題ではないとも思うが、少しは信じてみる気持ちも必要だなと前向きにさせてくれる本だ。
ナチスドイツに反抗するドイツ人の子供たちが主人公だ。もはや遠い時代の話になりつつあるが、同性愛や人工知能の話をうまく絡めることで共感しやすくなっていた。私自身は同性愛に肯定的であると思っていたが、登場人物のカミングアウトには面食らってしまった。理解があると思っていたのは思い上がりだったようだ。