第二次世界大戦中、ナチスによるユダヤ人迫害の象徴として語られるアウシュビッツに収監され生き残った、精神科医であり心理学者である筆者の壮絶な体験が語られた一冊である。彼は強制収容所での経験から、生命の意義へと肉薄していく。人は、「何のために」生きるのかを忘れた瞬間に生命の放棄へと進んでしまう。逆に言えば、彼の存在の『何故』を知ることが『殆どいかなる如何』にも耐えることができるのだ。ただ、筆者は必ずしも幸福が我々を支え、生きる意味を与えるわけではないと述べている。私には筆者の経験を想像することもできないが、彼の考えている幸福と私の考えている幸福とは性質が違うのであろう。幸福というか、生命への確信は人を強くすると思うのだ。
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