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ASEAN経済統合の実態 / 浦田秀次郎編著 ; 牛山隆一編著 ; 可部繁三郎編著

おすすめ度:
 ジャンル:
心躍る
By ココレモン
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本書ではASEANの経済状況や経済共同体を構築するための取り組みや域内貿易の進展などについて、多方面からの分析を元に詳しく説明されている。ASEANの国々は陸続きであるからこそ、日本に住んでいる身からすれば想像できない課題や解決策を知ることができて、非常に興味深い。例えばカンボジアやタイ、ベトナム、そして中国雲南省にまたがる大メコン圏や、ミャンマー・タイ間の経済統合において重要な点が、物流をよりスムーズにすることなのだという。日本では当たり前のように張り巡らされている高速道路や鉄道網であるが、東南アジアではまだまだ交通面での課題が多いのだそうだ。日本にいると、交通面の発達が経済成長の最も重要なファクターの一つなどという話は、少なくとも現代においては耳にしないものであるから驚きだ。 また本書を読んで、ASEAN域内の格差をどう是正するかという問いについても考えさせられた。他地域からのカネやモノはシンガポールを媒介してASEAN各国に輸出されたり、バリューチェーンの中で付加価値の低い工程を低所得国が担っているという問題があるが、我々の生活はそういった国があるおかげで成り立っているということを忘れてはならないと私は思う。実際、多くの日本企業は賃金の差を利用して安くモノを生産し、日本国内の人々の生活にも恩恵をもたらしてきた。ASEANの経済統合の強まりと賃金格差の是正はそのビジネスモデルが通用しなくなることを意味するから、非常に難しい問題であると考える。世界の共存共栄のためには各国の協力と努力が不可欠であると改めて感じた。

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