これが、私の、復讐。私を見下したすべての男と、そして女への――。 一人の美しい大学生の女と、その恋人の指揮者の男。そして彼女の醜い女友達。彼らは親密になるほどに、肥大した自意識に縛られ、嫉妬に狂わされていく。そう、女の美醜は女が決めるから――。恋に堕ちる愚かさと、恋から拒絶される屈辱感を、息苦しいまでに突きつける。醜さゆえ、美しさゆえの劣等感をあぶり出した、鬼気迫る書下し長編である。 印象的だったのは、タイトルの通り、この物語では「恋」と「友情」がどちらも“盲目”になるということだ。恋をするとき、友情を求めるとき、人はどうしても自分の都合の良いように相手を見てしまう。 作中の「他人の恋も友情も、その内側に入らなければ分からない」という文章は、まさに人間関係の本質を突いているように感じた。 “好き”という気持ちがどれほど純粋であっても、少し向きが変わるだけで誰かを傷つけ、自分を見失ってしまう。その怖さと、どうしようもない切なさが、この作品の魅力だと思った。 読み終えたとき、友情と恋愛はどちらもきれいごとだけでは成り立たないのだと、改めて感じさせられた。好きという気持ちが強すぎるほど、人は相手を求めすぎたり、自分の弱さを隠すために相手に頼りすぎてしまう。そんな生々しさに共感しつつ、どこか胸がざわつくような読後感が残った。 自分も同じような脆さや寂しさがあるのかもしれないと思わされる物語だった。
------