「夢」というたった一文字には、いくつか異なる意味がある。寝るときに見るもの、いつかそうなれたらと馳せるもの、ただの空想。知らないだけで本当はもっとあるのかも。子どもの頃のお祭りで買ってもらった綿あめみたいにふわふわとしている。食べ終わると手がベタついてるんだよなあ。 夢が儚いのは、儚いという字に夢が入っているのはどうしてだろう。近づくと消えてしまったりきれいに見えなくなってしまったりするのはどうしてだろう。それでも夢がほしいと思うのはどうしてだろう。 大人になっていくにつれてひとつ、またひとつと甘さを失っていくのを感じる。ひきかえに記憶の中の綿あめはどんどん大きくふわふわになっていく。 この本に収められている、うたたちと微睡んでいると手のベタつきや口の中の苦みは、もう大人になってしまったわたしへの攻撃ではなくなる。 何かを失ったって、代わりに手に入れたものもある。そして今のわたしにとってはただのベタつきにも、未来のわたしは「でも甘かったなあ。」って言うかも。 ネクライトーキーというバンドの「さかなぐらし」が今、脳内で再生されている。「こんなものは僕には要らないな。そうやって捨ててきた色々がなぜか今更になって恋しいんだ。」
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